のにあるLABO

「花は野にあるように」な生き方の探求所

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推しが引退する

昨日、推しが引退することを発表した。

私はvtuberを4年ほど前に知り、仕事で病んでた時期とある個人ライバーのコラボ配信をひたすら追いかけ視聴することにハマっていた時期がある。
その方は当時あまり活動頻度が高くなかったので、あらかたアーカイブを見終わると見るものがなくなって一時的なもので終わった。


しかし、私のvtuberへの興味はそこから始まった。
にじさんじというvtuberのグループがあることを知り、そのうちの何人かの配信をちらちら見たりしていた。
そしてある日、後に私の推しとなるvtuberがデビューした。名前を黛灰という。


黛灰デビュー当初は、そんなに気にしていなかったと思う。


私は彼の同期とのマイクラコラボ配信をチラッと見ただけで、
・クールキャラらしい
・なんかあんまり感じ良くないな(口調が淡々としててデビュー当時は今よりちょっと語気が強かった記憶)
という印象を受けて、「ふーん」と思っただけだったと記憶している。
次にデビューした加賀美ハヤトの方が気になっていたくらいだ。

 

しかし、もはや伝説と言ってもいい彼のデビュー後の大型コラボ「雪山人狼」の切り抜きを見て、印象はひっくり返った。
当時はまだデビューしてちょっとしか経ってない新人が、先輩ライバーを集めて大型コラボするだけでもすごいのに、そこで展開された映画さながらの策略。「なんかすげーやつきた!!!」と鼻息が荒くなった。


スプラッシュマウンテンかよというくらい気持ちよく落ちた瞬間だった。

 


そこから3年間、ずっと楽しかった。
孤児院育ちのホワイトハッカー。子供の頃出会った教授と呼ばれる男。2434system…etc. そんな彼のストーリーを追いかけるのも面白かった。ストーリーの中で彼のTwitterのアカウントが消えた時はどうなることかと本気でヒヤヒヤし、彼が戻ってきてくれた時、ファンと一緒にほっとした。
コラボ配信は相手のいいところを引き出す配信が多くて、コラボした相手のことまで好きになった。神田や伏見ガクは黛との会話を聞いていて好きになったvtuberだった。
個人の企画配信も、よく思いついたなと唸る企画がたくさんあった。最近ではデビュー当時チャンネル登録してた人だけがコメントできる同窓会配信とか、自分の配信を視聴しながら振り返り配信したりとか、……あれは最初から最後まで意味不明なことを真顔で言い続けてて腹筋が崩壊した。
そして、一番好きだったのはゲーム配信。それもインディーズゲームのような短いゲームのやつ。彼のゲーム配信は痒いところに手が届く。通常リスナーはライバーのプレイや発言に「いやそこは違う」「それ選んだらあかん」とかもやもやすることが多い。それが楽しみでもある。でも黛灰のゲーム配信はそれが殆どない。むしろリスナーより早く解に行き着くことが多い。おまけにゲームについてなど下調べをしておいてくれたり、知識が豊富でリスナーへの解説を随所に入れてくれる配慮や、ゲーム中のキャラクターのセリフや、シナリオに対しての彼なりの考察が深い。私のように考察語り合いたい系のオタクは、満足度がこの上なく高い配信をバンバンしてくれるのだ。
それから、個人的にここが好きと思っているのは、マイノリティの表現が出てきても特に反応しないところ。同性愛者がシナリオの中で登場しても、特に言及しない。普通のことのように扱ってくれる。それがとてもとても嬉しかった。

細かいところだとスーパーチャットと呼ばれる投げ銭をオフにしているところ。アーカイブで待機画面が流れない(時間ぴったりに始めてる?ライブは基本見ないのでわからないが)ところや、CMを入れないでくれるところも、配慮の人だなと、いつもこんな人憧れるしかないだろと思っていた。
言い出すとオタクくんの早口のごとくずっと好きなところを言い続けられそうなくらい好きだった。
お腹が引き攣るほど笑わせてくれる配信者であり、同時に発言やアーカイブの端々から尊敬する人でもあった。

 


アーカイブの中はずっと楽しかったけど、一方、私の私生活は地獄の時もあった。
ブラック企業から脱出するために転職した先が、もっとブラック企業だったりして、黛灰を見ることもできなくなった時期もある。
副業を始めたくて生活のいろんなものを削ぎ落とそうとしてyoutubeを見なくなった時期もある。
他のライバーを見ようとして、新人さんやら、ホロライブやら、にじさんじ海外勢やら、個人勢やらを見に行ったこともある。
でもやっぱり私は黛灰に帰ってきた。


次も絶対何かしてくれる!そう思わせてくれる人。
なのに、ゲーム配信なんかはただただ心地いい配信をしてくれる人。
私の家はここだわ。ここしかない。なにがあっても帰ってくる場所だわ。

 


そう思っていた。

 


その日、私は家で母の態度に深く傷ついて、健康を崩した母のために一人暮らしを諦めて実家に残っているのに、自分がこの家に存在する意味はなんだろうとどんよりしていた。


翌日はもっと落ち込んで、何をしても手につかず、そうだ推しを見よう!と、Youtubeのホームを開いた。

 


そこで飛び込んできたアーカイブの「活動終了」の文字。

 


いや、タイミング!!!!

 


タイミング!!最悪すぎん!?

 


気絶するかと思ったわ。

 


活動終了の報告をするアーカイブ見た。

理由は会社の方向性と合わなくなったためだという。

以前から何か解決できない問題が起きてるという話はしてたから、そうか……としか言えない。でも悲しいし寂しい。
普段は絶対に声に感情を出さない黛灰が、今回だけは声が不安定に揺れていた。
丹精込めて築き上げてきた黛灰というキャラクターを、捨てたいわけじゃないけど活動できなくなる。まだやりたいことがたくさんあって、ファンにも返したいことがたくさんある。けどできない。真面目な黛灰にとって、それがどれだけの無念なのかと思ったら私は気付けばボロボロに泣いていた。


家のことで鬱々としていたこともあって、半日くらいは立ち直れず泣いていた。
デビュー当時から、黛灰は孤児院育ちのホワイトハッカーで、成人した今でも孤児院の一室を借りて仕事していて、ハッカーで稼いでいたからお金に困ってなくて、子供の頃からコンピューター触っていたからキーボードは人差し指で打ってて……。そういうキャラクター性をどんな時も崩さなかった。
ごく自然に、会話の中でそういう一貫した背景が見え隠れするから、私は黛灰という人物が本当にいるのだと時々錯覚した。
それくらい、彼は真剣に黛灰というキャラクターを作り上げてくれていたのだと、今になって改めて気づかされた。

いや、わかっていたつもりではあったけど、思っていたよりもっとずっと、黛灰は黛灰を大事にしてたんだと引退理由を聞いた今更に気づいたのだ。


自身がまだやりたいことがたくさんある中でライバー活動ができなくなってしまうとしても、黛灰というキャラクターを崩さず全うしようとしてくれたこと、最高にかっこいいライバーだなと思った。心から感謝と敬意を贈りたい。


そう思ったことを書き留めておきたかった。
黛灰という偉大なvtuberがいたことを、これから先vtuberを知る人達は知らないのも、悔しいなと思ったのもある。

 


楽しい3年間をありがとう!
デビューから出会えた幸運に感謝を。


あと一ヶ月もないけれど、生前葬配信と最終日配信だけはライブでずっと見るし、他のコラボも見られるところは見ていく。
だから、出雲霞が最後に黛に言ったように、どうか最後まで「黛灰を全う」してください。